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通じて友人になりました。
松山市で“長寿社会を考える研究会”という任意団体で元気なお年寄りたちが四国、愛媛県でどの様に街づくりができていくだろうかと、高齢者が主役になってできる街づくりの研究をしております。その中の研究の一部にキャラバン隊と呼んでいますが、いろいろな地域に出掛けていって地域のお年寄りと美味しいものを食べながら1晩話し合う会というのを作っております。
たまたま、愛媛県の関前村というところに5年ほど前に参りました。その村は、人口が1000人、高齢比率が40%です。村を歩いているほとんどの人がお年寄りというような島です。私達は大変だろうと思ったのですが、その村の方に伺うと、島のお年寄りたちはお互いが助け合う「結(ゆい)」「講」などの相互扶助の精神でお元気に生活していらっしゃるとのことでした。
但し、今は大変ではないのですが、その方たちが80歳ぐらいになったときに島はどうなるんだろうというような提案をしましたところ、その時は大変であろうということでしたが、あまり切実には考えていないようでした。その後、島の若者たちとの話し合いで、大変なのは決してその村が過疎化してお年寄りがたくさんいるということではなくて、若い人達とお年寄りとの会話がないということが問題であることを知りました。
先程アナ・ミヤレスさんが話されたタイムダラーの社会的役割の1つの中に異世代間の交流を進めるというのがあります。そこでタイムダラーをこの島に取り入れようということになりました。社会福祉医療事業団で民間の創意工夫を生かした先駆的な事業に対して助成を行っていることを知り、申請いたしました。上限が500万ですが370万の助成金をいただき、3年前(93年)に先ずは、タイムダラーの創始者でタイムダラーの哲学を考えたエドガー・カーン博士をお呼びして、その翌月には実践しているアナ・ミヤレスさんを呼びまして、関前村ではどう進めていくかということを話し合いました。
関前村だけではもったいないということで、愛媛県の中の久万町と大三島町の3ヶ所で実際に試験的なタイムダラーのコースを持ったのですが、久万町の場合は私たちが実際に選んだメンバーではなく、久万町が推薦した肩書のいっぱいついた人が集まりまして、ボランティアの話をしても、全然興味をもっていただけませんでした。
大三島町は既に在宅介護時間預託というのを始めており、タイムダラーという新しい考え方を出してもらうと、せっかく在宅介護がうまくいっているのに困るということで、タイムダラーを導入することはできませんでした。
関前村の場合は10人の人を私達が1人ひとり面接をして“この人だったら活躍していただけるだろうな”という方を選びました。アナ・ミヤレスさんが来られたのが9月で、10月の終わり頃から10人でタイムダラーを始めるために「グループだんだん」を組織いたしました。“だんだん”というのは伊予弁で“ありがとう”という意味です。関前村の段々畑と、“だんだんと広めていきましょう”という意味を含めて「グループだんだん」と名付けました
今、この「グループだんだん」では58名の人がいろいろな活動をしています。ここでは、ポーカーチップのような偽造貨幣を使い、お互いサービスのやりとりをしており、そのやりとり自体が楽しいとのことです。
関前村は超過疎の島と呼ばれていますが、先程言ったように異世代の交流・会話の過疎

 

 

 

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